Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Read 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 240,656 characters · 478 screens
俺がつけてやるからこっちへ貸してみな」
代って灯りを点けようとしたその若いのが、突然げえッと言うように飛びのくと、ふるえる声で叫びました。
「畜生ッ。巻きつきゃがった。巻きつきゃがった。ぺとりと女の髭の毛が手首に巻きつきゃがったぜ」
「え! おい! 本当かい。脅かすなよ。脅かすなよ。――いやだな、何か曰くのある心中だぜ」
気味のわるいのをこらえながら、漸く灯りを点けて検べて見ると、やはりあるのです。女の帯の間から察しの通り、小さな油紙包みが現れました。しかも出てきた品は、小判が十枚と、走り書きの書置なのです。その書置もあり来たりの書置に見るように、先き立つ不孝をお許し下され度、生きて添われぬ二人に候えば死出の旅路へ急ぎ候、というような決り文句は一字も書いてはなくて、只二人の身元だけを書き流しにしるした型破りの書置なのでした。
「男。京橋花園小路、糸屋六兵衛伜、源七。女。新吉原京町三ツ扇屋抱え遊女、誰袖。十両は死体を御始末下さるお方への御手数料として、ここに添えました。よろしきようにお計らい願わしゅう存じます」
僅かにそれだけを書いた書置なのです。
「変だぜ。