Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Read 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 240,656 characters · 478 screens

Aozora Bunko

「心配すればこそ、京弥もこうして、さきほどからいろいろと考えているのでござりまするよ」

「あんなことを! 心配していたら、御返事ぐらいしたとていいではありませぬか。憎らしい……。このごろのあなたさまは何だかわたくしにつれなくなりましたのな。そのような薄情のお方は――」

「イタイ! イタイ! なにをなさります! そんなところを抓ってなぞして痛いではありませぬか!」

「いいえ、つねります! 抓ります! もっとつねります!……」

同じ心配をするにしても、このふたりの心配振りは諸事穏やかでない。

だが、肝腎の主水之介は、いつまで経っても帰らないのです。

しらじらとして、ついに夜があけかかりました。

しかし、沓として消息はない。

「どうしたのでござりましょうな。いかなお兄上さまでも、少しおかえりがおそうござります。それにお招きなさった方は、素姓が素姓、わたくし何だか胸騒ぎがしてなりませぬ」

「ゆうべ届いた腰本の書面はどこにござります? ちょっとお貸しなされませい」

読み直してみたが、しかしそれには、てまえごときもの、とうていお対手は出来申さず候、おちかづきのしるしに粗酒一献さしあげたく、拙邸までお越し下さらば云々と書いてあるばかりなのです。