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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Read 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 240,656 characters · 478 screens
「一つは公憤、二つにはそちをそのような不幸に陥入れた罪滅ぼしからじゃ。それにあ奴め、この主水之介を毒殺しようと致しおったぞ」
「何でござります! そ、それはまた、どうした仔細からにござります」
「そちから今、十吉めの素性をきいて、ようようはっきり納得いたしたが、実は身共も奴めが少し不審と存じたゆえ、あの夜逃がしてつかわす砌、もしや重罪人であってはならぬと、のちのち迄の見覚えに、奴めの頤に目印の疵をつけておいたのじゃ。それゆえ、どのように百化け致しおっても、身共がこの世に生きてこの目を光らしておる限りは、頤の疵が目印になって正体を見現わさるるゆえ、それが怖うてこの主水之介を亡きものに致そうとしたのであろうよ」
「そうでござりましたか。御前に迄もそのような大それた真似をするとは呆れた奴でござります。では、お力添え下さりますか」
「いかにも腕貸ししてつかわそう! 番所の方も亦、復職出来るよう骨折ってつかわすゆえ、安心せい」
千鈞の重味を示しながら断乎と言い放って、何かやや暫し打ち考えていましたが、不意に言葉を改めると、猪突に杉浦権之兵衛へ命じました。
「では善は急げじゃ。