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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Read 春泥・三の酉 (しゅんでい) by 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 86,075 characters · 173 screens
――と、お父つぁんやおっ母さんばかりで、家中、ほかのものもみんな? ……
――そうでもないのよ。……なかに一人、年ちゃんという、あたしと仲のよかった抱えのお酌さんがいてね。……この人も、花園池に入らなかったばかりに助かったわ。
――そのとき、いくつだった?
――あたし? ……あたし、十四。……女学校の一年。……お下げで、それァ、可愛かったわよ。
――女学校へ行ったのか、お茶屋のむすめが? ……
――行ったわよ。……どうして? ……
――だって、釣合わないじゃァないか、吉原に女学校は? ……
――知らないのよ、あなたは。……あゝいうとこの家庭ほど、ヘンにうるさいものなのよ、子供の教育のことなんかにかけて。……ことに、うちの父と来たら、大ていの堅気よりもきびしくって、あたしがその年ちゃんと仲よくするのさえ、いゝ顔しなかった位。……一つには、引手茶屋なんて稼業は自分一代のもので、いつまでやってるものでもなければ、また、いつまでやって行けるものでもないと思ってたらしいのね。……ということは、吉原なんてものは、いつかはなくなる。……それには、娘を、うんと仕込んで、いゝところへかたづけて……