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えどまえのつり

江戸前の釣り

三遊亭 金馬

Read 江戸前の釣り (えどまえのつり) by 三遊亭 金馬 (さんゆうていきんば) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 106,910 characters · 214 screens

Aozora Bunko

香りに魅せられるアユ〈六月〉

青ギス二十八尾。うち、一尺三寸というボラギスも混じる。

小金馬、小雨の中を初めての青ギスに、脚立の上で小便もできず、キスよりも自分の方が青くなってぶるぶる震えている。昼めしどきの潮だまりで舟へあがって、やっと生き返ったようになった。

それからというもの、小金馬は八十八夜も待たずして、「安宅丸」のカッパの吉蔵のように、「五井へ行こう、五井へ行こう」という。

酒はナダ色は年増に釣りは青   金馬

香りに魅せられるアユ〈六月〉

石船に今年のアユのデキを聞き

毎年五月中旬、世の釣り師はいっせいにアユ竿を出し、仕かけと蚊針ケースを取り出して手入れをし、解禁の日を夢見る。

よその土地のことはくわしくわからないが、東京の釣り道具店では、春先のフナと秋口のハゼ道具が一番よく売れて、店も忙しいと聞いた。金かさがはるのはアユの道具一式だそうである。

すべての魚は、いずれもお国自慢であるが、中でもアユという魚は、どの地方へ行っても鼻高々と自慢の種である。

水戸那珂川のアユは、砂食いといって、東京の者には喜ばれないが、土地の人は、黄門さまと同じように、日本にひとつしかないと自慢する。