Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Read 猟奇の果 (りょうきのはて) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 134,971 characters · 270 screens

Aozora Bunko

「あっちへ聞えやしないか」

とソワソワ尋ねる。

品川の方でも青木が這入って来たのを見ると、何かしらギョッとした様子で唇を白くしたが、

「大丈夫。ガラス戸だし、外の電車や自動車の音がひどいから。……で、一体何だね」

と声を低くした。

「この十五日の夜、君はどこで寝たか記憶しているだろうね」

青木は妙なことを聞くのだ。

「十五日と云えば、先週の土曜日だね。どこで寝たって、どこで寝る筈がないじゃないか、東京にいれば家で寝るに極っている」

「確かだね。変な場所へ泊りやしまいね」

「確かとも。だが、どうしてそんなことを聞くのだい」

「じゃね、昨夜だ。昨夜君はどこにいた。十一時から十二時頃までの間さ」

「十一時には、自分の居間の蒲団の中にいたよ。それから今朝までずっと」

「まさか君が嘘を云っているのじゃあるまいね」と青木はまだ疑わしそうに「それじゃ聞くがね、君は麹町の三浦って云う家を知らないかね。そこの屋根裏の赤い部屋を」

「知らん。だが、君はそこであいつに逢ったとでも云うのかい」

品川四郎は思い切ってそれを云った。云ってしまって、真青になった。「あいつ」とは云うまでもなく、もう一人の品川四郎のことである。