Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Read 猟奇の果 (りょうきのはて) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 134,971 characters · 270 screens
「逢ったのだよ。しかも非常に変な逢い方なのだ」
「話してくれ給え。そいつは一体どこの何と云う奴だ、そこで何をしていたのだ」
品川は非常な剣幕で、青木の腕を掴まんばかりにして尋ねる。
青木はそこで、はやる品川を制して置いて、先夜ポン引紳士に廻り合ってから、節穴を発見したまでの、不思議な経験を手短かに説明して、
「お神を説きふせると、その晩から、僕は赤い部屋の外側の暗闇の密室のお客様になった。そして、今日までに都合五組。それがどちらも商売人でない紳士と淑女の初対面なのだから、何とも云えぬ凄い感じなのだ。彼等が最初の間、どんなに気拙くはにかみ合うか。そして、最後には、どんなに無恥に大胆になるか。その人間の気持の推移を見るのは、どんなえぐった小説を読むよりも、もっと恐ろしいものだよ。僕はその意味丈けでも、数十金の価は充分あると思うのだ」
「それで、あいつがその赤い部屋へ現われたのは?」
品川は悠長にそんな話を聞いている余裕がない。
「昨夜なのさ。僕の隙見の第五夜だ。丸くぼかした視野の中に、君の、その顔が、ヒョッコリ現われた時には、僕はもう少しで叫声を立てる所だった」