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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Read 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) by 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 84,829 characters · 169 screens
「大へんなところって?」
英夫は、祥子にいつか秘密の根拠地の話をしたことがあった。
「例の秘密の根拠地だ、どうもここがそうらしいんだ」
「まあ! ここがそうなの」
「気づかれないように、そっとこの中の様子を探って見よう、思いがけない大発見があるかも知れないから」
幸い、敵の潜航艇へ乗って来たので、怪しむ者もないらしく、それに夜明けに近い真夜中のせいもあろう、あたりはひっそりとしていて、ぱしゃぱしゃとかすかに海水の岸を舐めている音が聞えるだけだった。
そこは巨大な潜航艇の格納庫らしく、まっ白に塗られた、ほとんど真四角な建物の高い天井には、真昼間のように煌々と電灯がかがやき、掘割のように、いく筋も入りこんだ海水の上に、例の鯨のような潜航艇がいく十となく浮んでいた。
どこからか、遠い雷鳴のようなダイナモの音も聞えていた。
潜航艇は大きいのや小さいのやさまざまだったが、みなおなじような型のものだった。中には武装しているらしく、大砲や高射砲を甲板に出して、覆いをかけてあるものもあった。
「畜生! 僕たちの乗った、旅客機を襲撃した潜水艦も、この中にいるんだな!」
英夫は思わず拳をにぎった。