Japanese reading practice

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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

Read 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 73,583 characters · 149 screens

Aozora Bunko

「どなたかお客様?」

「はい、――」

女中の雪が出迎えながら、

「榊原さまでございます、――なんですか若旦那さまの事でお話にいらしったとか」

「お兄さまの事で?」

千草は不吉な予感を覚えながら客間へ入って行った。――母と対坐しているのは榊原小平太といって、兄の数馬と勿論、千草も幼いころから親しくしている若侍だった。

「おやどうおしだえ、今日はもうお退りか」

「ええ、――いらっしゃいませ、小平太さま」

母には答えず、千草は小平太の方へ手をついて、

「兄の事で何かありましたの」

「何かあったという訳でもないのですが、数馬は御用で国表へ立ったそうですね」

「はい、――一昨日の夕方いちど、お上の御用で直ぐ戻ると申しまして出たのですが、そのまま帰りませんので案じておりますと、昨日の朝御家老さまから、お国表へ急用で出立させたからとお知らせがございましたの」

「それが妙なのですよ」

小平太は懐から紙入を取出して、

「これはたしか、数馬の物でしょう」

「拝見致します」

千草は手に取って見た、古い鹿皮の紙入、たしかに亡き父の形見として、兄が常に肌を離さぬ品である。

「ええたしかに兄の……」