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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens
「親分、冗談はいい加減にして下さいよ。お染が泣き出しそうにしているじゃありませんか」
たまり兼ねて万吉が口を出しました。
「泣くほど嬉しいのさ。持参金は五千両だ、――これは親許の俺が、八五郎に持たせるんだぜ」
「…………」
「俺は今日浅草の観音様へ行ったのさ。思い切りお賽銭をあげて、半日拝んだ揚句、この縁談を卜うつもりで御神籤を抽いた――」
「…………」
緊張した空気の中で、平次は懐中を捜りました。取出した紙入――その中に八つに畳んで狭んだのは、何の不思議もない、半紙半枚に刷った御神籤が一枚です。
「ね、この通り、第六十三番凶と出た。上の方に草刈籠を背負って鎌を持った子供が一人、秋の野を行く絵があって、下には四句
何故生二荊棘一
佳人意漸疎
久因重輪下
黄金未レ出レ渠一
こう刷ってある。心は、『このくじに逢う人は運甚だ悪し』と来た、『待人来らず、望み遂げ難し、売買利なし、元服嫁とり聟とり旅立ち万悪し、女色の惑い深く慎むべし』と、いやはや、さんざんの体さ、――」
「…………」
「諦めた方がいいぜ、八」
「親分、――そりゃ、一体、何で」
八五郎は引入れられる心持で、畳の上へ延べた御神籤を見入りました。