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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens

Aozora Bunko

「お袖殺し一人は押えたが、音次郎じゃ手柄にならねえ」

「でも、三輪の万七親分は大喜びで縛って行きましたよ」

「勘六を縛った見当違いを取返したかったろう、放っておくがいい、――俺はあんな男などを縛りたくはない」

平次は宵のうちに引揚げて来て、お静に一本つけさせ、面白くもなさそうに盃を舐めました。

「ところで、親分に頼まれたことがありましたネ」

「何だい」

「文吉、七平、専次、それから三河屋の身許と、匕首の出所」

「すっかり忘れていたよ、そいつを聴かしてくれ」

平次は急に元気づきました。お袖殺しの一件で、まだガラッ八の報告を聴かずにいたことに気が付いたのです。

「三河屋の旦那はやはり三河者ですよ、万歳ではない、日傭取だったそうで、――文吉と一緒に江戸へ出て来て、昔は兄弟分だったそうですが、いつの間にやら一方は出世して、長者番付にも載るようになり、一方は落ちぶれて、駄菓子屋になったのだそうで」

「そいつは面白いな、二人が兄弟分とは初耳だよ」

「三河屋の旦那はそれでもよく文吉の世話をしたそうですよ、いくら注ぎ込んでも、貧乏性は仕方のないもので、あの通りその日暮しの境涯から足が洗えません」