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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens

Aozora Bunko

未刻(二時)下がり、やがて申刻(四時)にも近かろうと思う頃、お勝手口へフラリ人の影がさします。

「それッ」

と行ってみると、見知り越しの隣の男の子、風太郎いかに神出鬼没の怪盗でも、こんなに小さくなれッこはありません。

「叔母様、これ粗末なものですが、皆さんで召上がって下さいって――」

言いつかった口上通りを取次いで、友白の妻の前に出したのは丼へ入れた饅頭。

「それは御丁寧に有難うございました」

取り込んでいるので、気を利かしてお茶受けを持って来てくれたのだろう――そんな事を考えながらヒョイと見ると、饅頭を入れた丼と見たのは、三日前に盗まれた名物の茶碗。

「あッ、これはどうだ」

そこへ来合せた友自は饅頭を投り出して、茶碗を掻い抱くように、右から左から、ためつすかしつ、鵜の毛で突いたほどの疵も見落さずと調べています。

「坊っちゃん、ちょいと待った」

平次は飛付いて、危うく隣の子を押えました。

「好い子だ、あの饅頭はどこから持って来たか、教えておくれ」

「おいらのせいじゃないや、放しておくれよう」

物々しさに怯えて泣き出しそう。

そこへ友白の妻やら、隣の主人やらが来て、宥めすかしながら聞くと、路地の外で若く美しい女の人に頼まれたとだけは判りましたが、子供のことで、年頃も人相もはっきりした事は言えません。