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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens
「もう一度家捜しをしようか、平次殿」
大垣伊右衛門は江戸者らしい気さくな調子で平次を顧みます。
「いえ、それには及びません。三日の間捜して解らない品が、あっしが捜したところで出て来るはずもございません」
「なるほど」
「それより、一人、一人、家の者や奉公人に逢ってみましょう、人相を見たら、また何とか思案も浮びましょう」
平次は一応出入口や間取りの工合を見た上、まず五、六人の奉公人を集めて、一わたり顔を見ました。何の用意があるわけでもありませんが、こうして生きた人間の表情の動きを見ているうちに、何か暗示を掴むのが、平次の一つのやり口でもあったのです。
「死んだ棟梁が気の毒だと思うなら、皆んな隠さずに知っていることを話してくれ」
「…………」
平次のこういう意味は、よく奉公人達に通じた様子でした。
「ところで、失くなった絵図面がたった一晩ここへとめられた時、どこにどんな工合に置いてあったか、皆んな知っているだろうな」
「それはよく知っていますよ、親分さん」
五、六人の声は一緒でした。物を隠すことを知らない正直な人達の顔を、平次は親しい心持で見渡します。
「それを話してくれ。