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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens
「真昼の納戸の中に、お化けが出たと言うのか」
「それが子供のことですから、よくは解りません、――それから、お爺ちゃんの巾着、というような事も言いました」
「巾着?」
「子供の事ですから、何を言うか解りませんが、もう一つ変なことを言いました」
勘五郎は臆病そうに固睡を呑むのです。
「変なこと?」
「私にも見当は付きません、が、何でも六十三は今日だね――と言ったようで」
「フーム」
銭形平次も腕を拱くばかり、この判じ物は容易に解けそうもありません。
「親分さん、この敵を取って下さい。こんな虐たらしい事をして、――家の中の者に違いありません。捕えて八つ裂きにでもしてやって下さい」
お常は兇暴な眼をあげました。屈従に慣れた女が、ふと乳虎の怒りを発したように、血に渇いた眼が、ギラギラと貝殻のように輝くのです。
平次は順々に家中の者に逢ってみましたが、隠居や勘太郎を殺す動機は、すべての人が持っており、その機会も均等で、手の下しようがありません。
「隠居が変死したに違いない――とお寺へ知らせたのはお前だろう」
平次は下女のお光を捕えてこんな調子に鎌をかけました。
「お神さんが行ってくれ、あのまま葬られちゃ、お父さんが浮ばれないって言うんです」