Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あめのたまがわしんじゅう
雨の玉川心中
山崎 富栄
Read 雨の玉川心中 (あめのたまがわしんじゅう) by 山崎 富栄 (やまざきとみえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 63,997 characters · 129 screens
五月二十四日
仕事なんかより、お前との問題の方が大事だと気づかって下さるのです。
「僕がこんなにお前を可愛がっているの、分からないの」
「誰にも言えないことだけど……んなこと、だんだん考えるようになったんだ。そうなるかも知れないよ。いい? 離れないでね。弱気を起こしては駄目だよ」
私の悲しみを知っているひとはただ一人。自分自らの手によって私の心を傷つけたあの人。ああ、楽しい恋の苦しみや、涙に濁った恋の楽しみやが、やがて、心に強い痛手を投げようとは、夢にも思ったことはありませんでした。
ああ「信頼」の二字!
夫が病んでいます
わたしの夫が……
生まれて初めての恋だよと
昔……
夫はわたしに言いました
仲よくしてたそのときでも
夫はあの人の幻を胸に描いていらしたとか
わたしを一番愛しているから、信頼しているからと
すべてを打ち明けてくれました
――手をにぎったこともなく
――唇をふれ合ったこともないと
五月二十四日
修治さんは気の弱いかたなのです。「優しい」ということの、本当の意味は今の私には分からなくなりました。文学的な苦悩、これは才能に恵まれていられるので、さほどではない様子で私には、女のひとのこと――これは結局、奥様へのやるかたない哀しみに帰るのでしょうが――の方が幾重にも深い苦悩になっていられるのです。