Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
姥の怒りと焦燥とが、虫や鳥獣にも伝わったらしい、山猫は背を立て毛を逆立て、足を踏ん張って唸り声を上げ、梟は枝から舞い上がり、焚火の上を輪のように舞い、蛇はとぐろをほぐし出した。
と、一匹の縞蛇が、五尺あまりの太紐のような体を、焚火にテラテラ光らせながら、鬼火の姥の足に搦み、胴の方へ這い上がった。
姥はほとんど夢中であった。
「しめたぞ! 奪った! 連判状は奪った! ……逃げる逃げる逃げる逃げる! ……それさえ奪ったら大丈夫! 逃げな逃げな早く逃げな!」
蛇は胸まで這い上がった。
「あッいけない! 斬られた――ッ」
と、姥はバリバリと歯を噛んだが、夢中で蛇を両手で握り、
「ム――、残念、取り返された――ッ」
蛇は二つに千切られて、ダラリと延びて下がったが、千切れた口から滴った血が、焚火の上へこぼれたらしく、腥い匂いがひろがった。
「範覚範覚! 範覚!」
と、突然姥は呼ばわった。
「行ってみようぞ、館の前まで」
すぐに、
「オ――ッ」
という声が聞こえた。
社殿の横に碑があって、なかば雑草に蔽われていたが、その蔭に若い山伏が、さっきから膝を抱き首を垂れ、コクリコクリと居眠りをしていた。