Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
「父帝には? ……その後いかがか?」
宮家は真っ先にお訊ねになった。
「は」
と、隆貞はお答えしたが、しばらくの間は黙っていた。
甲胄の擦れ合う音をたてて、宮様ご警護の竹原家の家来が、館の庭を往来している姿が、簾越しに見えるのへ、隆貞は視線を投げていた。
「隠岐にご巡幸と事定まりまして、御いたわしくも三月十七日に……」
と、ややあって隆貞はポッツリと云った。
「ナニ隠岐へ? 遠い島へか」
宮家は不意に横を向かれ、両眼をしずかに閉じられた。
出雲のあなた、日本海の上に、潮煙りに巻かれて点在している、孤島の姿が映って見えた。
「尊良親王様におかせられましては……」
と、隆貞のしめった声が云った。
「土佐の国へ御流遷……尊澄法親王様におかせられましては、讃岐の国に御流遷……」
「承久の例そっくりじゃな!」
両眼を鋭く見ひらかれ、宮家は烈しい御声で云われた。
「不届きなは北条! ……陪臣の身をもって!」
また宮家には御眼をとじられた。
承久三年のことであった。北条氏の越権をお怒りになり、これを滅ぼして政治の大権を、朝廷に復して常道に帰そうと、こう思しめされた後鳥羽上皇には、仁科盛遠、三浦胤義、これらの武士を召させられ、北条氏討伐をお計り遊ばされた。