Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
「お父様よりお使いが参り、明後日は吉例の菊花の宴、二人うち揃って参るようにとのこと、ねえ参ろうではございませんか」
夫婦となって三年を経た。そういう二人でありながら、その仲の親しさ睦まじさは、ほとんど新婚と変わりなく、人眼なければ呼び合う言葉など、甘く、遠慮なく、舌たるいのであった。
「うむ」
と頼春はただに答えた。
心はそこにはないのであった。
(宮方へ附こうか? 六波羅方へ行こうか?)
「ねえ」
と早瀬はまた甘えた声で、
「蜜柑が葉の下に生るということ、あなたご存知でございまして?」
「何に?」
と頼春は不思議そうに訊いた。
突然変なことをいい出されたので、物憂かった心が急に解けて、ついそんなように云ったのである。
(よかった!)
と早瀬は嬉しく思った。
(何んでもわたしはこの人の心を、カラリと軽いものにしてやって、ズンズンものを云わせなければならない)
そこで彼女は云いつづけた。
「地震のあるのを知っているものは、鯰が一番だと申しますね」
「アッハッハッ何を云うやら」
「海嘯のあるのを知っているものは、蟹が一番だと申しますね」
「アッハッハッ何をつまらない」
「今年は雪が多いか少ないか? ―― ということを知っているものは、蜜柑の実だそうでございます」