Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
ほとんど機械的に太刀を抜き、アヤツリ人形のようにその太刀をふり上げ、夢遊病者のように進み出た。
その姿を頼兼が見た。
「おお?」
と彼は疑がわしそうに云い、
「ああ!」
とすぐに放心したように云った。
彼は太刀をダラリと下げ、押されたように後へさがった。
その眼は空洞さながらとなり、その唇はポカンと開き、極度の意外にぶつかった人間が、瞬間に現わす痴呆的表情! ――その表情をあらわした。
不意に彼は呻くように云った。
「そちが! ……頼春! ……裏切ったとは! ……一族の……同じ血の……一族のそちが……」
にわかに彼の表情が、何んともいえない変なものに変わった。
怒りか? 恨みか? 咒咀か? 悲しみか? ……
いやそれ以上のものであった!
それは憐愍であるようであった!
つづいて彼の顔に恥辱の色が、稲妻のようにあらわれた。
名誉ある土岐の一族から、裏切り者の出たことを、自分自身に恥じるかのような、そういう色があらわれた。
彼はにわかに首をちぢめ、肩を下げ背を曲げ、何者かにお詫びでもするように、居縮むような格好をしたが、時綱と頼春とに背を見せて、館の方へクルリと向き、元の寝所の方へ走り出した。