Japanische Klassiker mit Furigana
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こころ
こころ
Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme
十二
私は始め心のなかで、何も知らない母を憐れんだ。しかし母がなぜこんな問題をこのざわざわした際に持ち出したのか理解できなかった。私が父の病気をよそに、静かに坐ったり書見したりする余裕のあるごとくに、母も眼の前の病人を忘れて、外の事を考えるだけ、胸に空地があるのかしらと疑った。その時「実はね」と母がいい出した。
「実はお父さんの生きてお出のうちに、お前の口が極ったらさぞ安心なさるだろうと思うんだがね。この様子じゃ、とても間に合わないかも知れないけれども、それにしても、まだああやって口も慥かなら気も慥かなんだから、ああしてお出のうちに喜ばして上げるように親孝行をおしな」
憐れな私は親孝行のできない境遇にいた。私はついに一行の手紙も先生に出さなかった。
十二
兄が帰って来た時、父は寝ながら新聞を読んでいた。父は平生から何を措いても新聞だけには眼を通す習慣であったが、床についてからは、退屈のため猶更それを読みたがった。母も私も強いては反対せずに、なるべく病人の思い通りにさせておいた。
「そういう元気なら結構なものだ。よっぽど悪いかと思って来たら、大変好いようじゃありませんか」