Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
それでも栄二は口をきかなかった。
石川島へ送られたのは、栄二とも五人で、みな常着に藁草履をはかされ、栄二ともう一人の若者とが腰繩で繋がれた。二人だけは暴れだすとみられたらしい。奉行所からは与力と同心二人、下役三人が警護に付いた。栄二と繩で繋がれた若者は、絶えず神経質に鼻を鳴らしたり、首を左右に捻ったりした。
「おいらあ金太ってもんだ」一行が町へ出るとすぐ、その若者は栄二に囁いた、「けちな博奕でしょっぴかれて島送りさ、われながらざまあねえや」
「口をきくな」と下役の一人が叱りつけた、「話すことはならんぞ」
若者は首を捻りながら舌を出した。べらぼうに長くて青白いような舌であった。栄二は相手にならなかった。他の四人がどんな男たちであったかも覚えがないし、町筋をどうゆくかも見なかった。通りがかりの人たちの中には、罪人が送られるのだと知り、立停って嫌悪と好奇の眼で見送る男女もあったが、たいていは気がつかないか、気がついても慌てて眼をそらす者のほうが多かった。
――あいつらには、腰繩を打たれたおれの姿が恐ろしいんだな、ふん、と栄二は思った。たぶんおれが極悪人で、強盗をしたり人殺しをした人間のようにみえるんだろう、いいとも、いまにみていろ、いまにおれはきさまたちの推察するとおりの人間になってみせるぞ。