Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
一の三
やがておかめが、注文の酒肴をはこんで来、二人の膳へ分けて置くと、では用があったら手を鳴らしてくれと云って去った。
「めえめえでやろうぜ」と栄二が云った、「めんどくせえから盃のやりとりはなし、酒も手酌でやるとしよう、いいな」
「いいけれども」とさぶは膳をじっと見まもりながら云った、「なんだか少し、おっかねえような心持だ」
「なにがおっかないの」と云って、三人めの女が障子をあけ、顔だけ出してにこっと笑いかけた、「あらいやだ、河岸の親方かと思っちゃったわ、ごめんなさい」
表でのれんを掛けていた女であった。きりっと緊ったほそおもてで、笑ったとき唇のあいだから八重歯が覗いた。栄二はふいと、冷淡にそっぽを向いた。
一の三
「陰気じゃない」とその女は云った、「誰もいないの」
「いいんだ」と栄二がそっぽを向いたままで云った、「酌はいらないんだ」
「お通夜みたい」と女が云った、「それとも人に聞かせられないような悪い相談でもするの」
栄二が振り向いて「うるせえな」と云った。女はちょっと笑いかけたが、栄二の眼を見ると顔をひきしめ、ごめんなさい、と低い声で云って障子を閉めた。女が笑ったとき、また八重歯が覗き、それが栄二の眼に残った。