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Japanische Klassiker mit Furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme

Aozora Bunko

「――青木という人だな」と彼は呟いた、「町廻りのほうか、奉行所詰のほうか、とにかく青木というあの与力のやったことだろう」

どうするつもりだ、そんなふうにしておれをなだめようというのか、そんなことでおれの怒りが挫けるとでも思っているのか。冗談じゃあねえ、足の指の剥がした爪は生えてきたが、おれの心のずたずたにされた傷はまだ血をふいている。さぶを使って、泣きおとしにかけるぐらいのことで治るような傷じゃあねえぞ、と栄二は心の中でせせら笑った。

四月の末から降りだした雨が、五月中旬まで続いた。もっこ部屋から島の外へ出仕事にいっていた十七人は、深川の海辺で埋立て工事をしていたのだというが、雨が続くあいだは埋立てもできず、部屋にこもってごろごろしていた。――五日ごとに必ずやって来たさぶが、五月にはいってから姿をみせなくなった。姿をみせないといっても会うわけではなく、差入れの品を受取るだけのことだが、さてその差入れがないとなると、こんどはそれが気になりだした。いつも菓子や折詰のすしを分けて貰っている、まわりの者たちも気がついたとみえ、お客さんがみえねえようだがどうかしたのか、などと幾人かが問いかけた。