Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
九の五
頭のいい、おとこまえの、苦労知らず。おのぶにきめつけられたその言葉が、栄二の頭に根深く刻み込まれた。自分本位で、自分がくやしいから仕返しをする、そのことだけを思い詰めて、栄二のために苦労している者のことを考えない。ふん、のぶ公のやつ、自分こそ苦労知らずだということを知らねえな。おれのやられた四半分でもやられてみるがいい、そうすれば、人間が仕返しをしずにはいられない、という気持がわかるだろう。そう反撥してみるのだが、それでもなお、頭のいい、おとこまえの、苦労知らず、という言葉は彼の頭から消えなかった。
「ええ、くだらねえ」栄二は仮小屋を建てる板を運びながら呟いた、「――将軍さまにくどかれたって、やるといったらおらあやるんだ、みていやあがれ」
九の五
「ええちくしょう」と栄二は自分を罵った、「なにが自分本位だ、のぶ公なんぞになにがわかる、おれの胸の中ではまだ血がふきだしているんだぞ、この痛みがどんなものか誰にわかる、くそっ、のぶ公のごたくなんぞ忘れちまえ」
暴風のあと始末に八月いっぱいかかった。高波のために、島の土はかなり広く洗い流されていたので、外から土や砂利を運び入れなければならなかった。