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Japanische Klassiker mit Furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme

Aozora Bunko

「まずいことに伯翁が書をやるのだ」と岡安は前置きなしに云った、「――役所でおまえだけ別扱いをすると、つねづねひがみをもっている者があって、それが伯翁に耳うちをしたらしい、私の知らないうちに奉行へ訴えが出てしまった」

伯翁とは心学教師の立松のことだ。これも報酬なしで講義に来ているのに、自分をさしおいて人足が字を教えると聞いたため、ひどく自尊心を傷つけられたとみえ、奉行の成島治右衛門に強く申し入れた。文字を習うのは初めが肝心であり、単に字を覚えるだけでなく心構えが大切である。明窓浄机とはいわないまでも、心身を清め、無念無想になって筆をとらなければならない。ごたごたした人足部屋などで、作法もなく勝手にやるのは、却って害になるばかりである、と主張したそうであった。

「それにも一理はあるし」と岡安は続けた、「この部屋よりも、役所の座敷のほうが静かでいいだろう、そう思わないか」

「みんながいくかどうかですね」と栄二が答えた、「この部屋だから気やすく筆を持ちますが、役所までいくとなると、おそらく続かないんじゃないかと思いますがね」

そこで栄二がふきだし、声をあげて笑った。