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Japanische Klassiker mit Furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme

Aozora Bunko

十二の一

「あやまるこたあねえさ、おれの足がこんなでなければ、その男に会ってなんとかやってみるんだがな」

「ありがと、そう云ってもらうだけでもうれしいわ」と云っておのぶは微笑んだ、「まあどうにかなるでしょ、できる限りふんばってみるわ」

「のぶ公なら負けやしねえさ」と栄二も力づけるように笑ってみせた、「それでも困るようなことがあったらここへ来るんだぜ」

「一度だけきかせて――その足、どうなるの」

栄二は肩をすくめてから云った、「雪の道だ、転ばねえように気をつけな」

おのぶは栄二の眼をじっとみつめながら、少女のようにこくっと頷いた。

十二の一

石と石の隙間からさぶの顔が見えた。その顔は涙でぐしゃぐしゃに濡れ、恐怖のためみにくく歪んでいた。死なないでおくれ栄ちゃん、とさぶは両手の指を力いっぱい絡み合わせ、口のところへ押し当てていた。おれは栄ちゃんだけが頼りなんだ、頑張っておくれ、死なないでおくれ栄ちゃん、もうすぐだよ、しっかりするんだよ、死んじゃだめだよ、栄ちゃんに死なれたらおらあもうおしめえだ、栄ちゃんが死ねばおらも死ぬよ、とさぶは泣きながら哀訴した。泣くのはよせ、おれは大丈夫だ、そう云おうとしたが、石の重さで胸が潰れそうに苦しく、どうしても声が出なかった。