Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
十四の一
とおのぶが云った、「もったいぶらないでさ、あたし見ていなかったんですもの、いいでしょ」
栄二は小座敷へあがろうとしたのをやめ、狭い土間の中を二、三歩あるいてみせた。
「あら、まるっきり平左じゃないの」
「平左ってなんだ」
「平気の平左衛門、知らないの」
先に小座敷へあがっていたさぶが笑い、おすえも口へ手を当てて笑った。
「平左なもんか」と栄二は云った、「よく見てみろよ」
彼はまた二、三歩あるいてみせた。注意して見ると、彼の右足は少しひきずるようであるが、そう云われなければ殆んど眼につかない程度であった。おのぶはそのようすを、うっとりしたような眼で見ていて、粋なもんじゃないのと云った。
「そのくらいに片足を曳いてあるくなんて、粋なもんだわ」
「そういう褒めかたもあるか」
「嘘じゃない、ほんとよ、ねえおすえちゃん、あんたもそう思うでしょ」
「そうね」急に呼びかけられておすえはどぎまぎし、ちょっと首をかしげてから云った、「――あたし粋でなくってもいいから、ちゃんと治ってもらいたいわ」
「あらいやだ、もうおかみさんぶってる」と云っておのぶは睨んだ、「うちの人をよその女に、粋だなんて見られたくないんでしょ」