Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
十五の二
「じゃあその人ですね、晩めしを作って待っているっていうのは」
栄二は頷いた、「さぶは相手を子供だと思って、まるっきり気がつかないらしいが、その娘はもう立派なおとなだ、五歳のときから苦労のしどおしで、いまでも寝たっきりの父親を養っているんだからな、おめえもいつかいって見ておいてくれ」
「あたしがですか」
「おまえがさ」と栄二は微笑した、「――おれにはさぶの嫁にうってつけだと思うんだ」
十五の二
九月になり、袷に着替えてから暫くしても、おすえが単衣のままでいるのに、栄二は気づいた。こまかい木綿縞で、浴衣ではないが夏じゅうずっと着ていたものであった。
「単衣じゃありません、袷ですよ」そらと云って、おすえは裾を返してみせた、「ね、ちゃんと裏があるでしょ、あたしこの柄が好きだから縫い直したんです」
「うろこ崩しの袷があったろう、おれはあのほうが好きだがな」
「あれは隣りのおぶんさんにあげました」
「隣りのおぶんさんって」
「おかみさんよ」とおすえが低い声で云った、「御亭主の増六さんは、かよい番頭をしていた店が潰れ、そのあとずっと担ぎ呉服をしているんですって」
だがしょうばいはうまくゆかず、このごろはおぶんの賃仕事で、ようやくその日を凌ぐありさまであり、夫婦の持物はみな売り払うか質草になって、一枚の袷を作ることもできない。