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Japanische Klassiker mit Furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme

Aozora Bunko

はいただいまと、おすえはさぶに眼くばせをして立ち、栄二は長火鉢の脇へ坐った。

「いつでかけるんだ」と栄二がきいた。

さぶは意味もなくいずまいを直した。

「葛西へいくんだろう」

「いかしてくれるか」

「かなしいやつだよ、おめえという男は」と栄二は云った、「――だが断わっておくぜ、材料が揃ったらすぐに江戸を立つ、なにかのたしになるだろうからおすえも伴れてゆくつもりだ、暢びりしていられちゃあ困るぜ」

「ありがとう、恩にきるよ栄ちゃん」さぶはおじぎをした、「いって来るだけだ、知らせのようすじゃあ、死目にあえるかどうかもわからねえという口ぶりだったし、もしそうでねえにしてもすぐに帰って来るよ」

「念のために糊のことを聞いておこう」

いまか、とさぶが反問し、栄二は頷いた。二人は立ちあがって、仕事場へ行った。さぶは蝋燭に火をつけ、仕事場の一隅にある揚げ蓋を開き、縁の下にある五つの瓶を示した。水瓶よりちょっと小さい物で、その下半分は土に埋まっている。五つのうち三つは、目貼りをした蓋に、仕込んだ年月日が書いてあった。さぶはそれらを、端のほうから指さしながら説明し、栄二は頷いて、わかったと云った。