Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
「ごめんなさい」おのぶは徳利を膳の上へ置き、あいている徳利を盆のほうへ移して、坐りながら云った、「あたしこのごろ、少し酔うと泣き上戸になるようなの、としだわね」
「としだって、幾つになるんだ」
「もうおばあさん、二十一よ」
「それでばあさんか、いい気なもんだな」そう云いながら手酌で一つ飲み、おのぶにも酌をしてやって、栄二は静かに口ぶりを変えた、「――いちど云っておこうと思ったんだが、さぶのやつがおめえを好きだってこと、知ってるだろうな」
「ええ知ってます」おのぶはまじめに頷いてから、感情のない笑いかたをした、「誰かが誰かを好き、こっちの誰かはほかの誰かが好き、――まるで虫拳みたいだわ」
「冗談にしないで聞けよ」
「冗談にしなければ角が立つのよ、栄さんだから云うけれど、あたしさぶちゃんはどうしても好きになれない、お客としてならよろこんでお相手をするわ、でも好きか嫌いかという段になれば、だめ、済みません堪忍してちょうだい」
「いいやつなんだがな、まじめに、本気でおのぶに惚れているんだが」
「それにね、栄さん」おのぶは眼を伏せ、声を低くした、「あたしにはたいへんな親きょうだいがあって、人のお嫁にはなれない躯なのよ」