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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

そのみずみずしい音色からたしかに水鳥の声ではあるが、行々子とも違うし、友もその名を知らなかった。其処へ、思いがけなく杜鵑の啼くのが聞えて来た。

実は宿屋に着く早々、机に噛りついたので最初楽しみに来たこの鳥の事など、まるで忘れていたのであった。また、実際昼間は啼かなかったのかも知れない。そして次第に夕づいて来た空や山や湖の静けさのなかに、いま漸く嘴を開いたものであろう。実に久しぶりに聞くおもいである。昨年も聞いたではあろうが、聞かずにおいた筈はないが、サテ、何処で聞いたか一寸思い出せない。或はどうかして聞かなかったのかも知れない。一昨年もまたそうである。とにかく心の中に奥深く巣くっているこの声が、久しぶりにそのねいろを挙ぐるが様に、一声二声と耳を傾けているうちに、胸は自ずとそのときめきを強めて来た。啼く啼く、実によく啼く。この鳥の癖で、啼き始めたとなると全く矢継早に啼きたてるのである。

部屋には膳が運ばれた。山の上の空気の意外の冷たさには初め部屋に入った時から驚いていたのであるが、今は湖に面した側の玻璃戸を悉くあけ払い、ツイ眼下に小波のきらめきを眺めて二人は徐ろに盃をふくんだ。