Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

雪の天城越

暫て先刻遠くから見たらしい老婆が着ぶくれた半身を現わしてさも不審そうに私を見て居る。私は口早に(犬が恐かったのだ)この路下の洞穴のほかにもう一つ附近に洞穴があるそうだが(矢張り犬のために窓という言葉を忘れていた)それにはどう行くかと訊くと、それには……と云いかけてそそくさと奥へ引っ込んで了った。そして今度は愛憎笑いの顔を出して、とにかくこちらへ入れという。犬に追われながら戸口を入って私も意外な思いをした。唯だの百姓家とのみ思い込んでいたのに、中に入って見ると其家は何かの御堂であった。土間の左手はささやかながら物寂びた本堂、正面の所が庫裡――と云っても長四畳程の小さな部屋で、中に切られた炉には赤々と焚火が燃えていた。そしてその囲炉裡の正面には小机を置いて六十歳あまりの和尚らしい人が坐り、同じく不審そうに私を見迎えていた。

雪の天城越

幾年か見ざりし草の石菖の青み茂れり此処の渓間に

乗合自動車の故障の直されるあいだ、私はツイ道ばたを流れている渓の川原に降り立って待っていた。洪水のあとらしい荒れ白んだ粒々の小石の間に伸びている真青な草を認めて、フト幼い頃の記憶を呼び起しながら摘み取って嗅いで見ると正しく石菖であった。