Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
梓川の上流であらねばならぬ。単に山崩れの場所といわず、附近の山全帯が屏風を立てた様な殆ど垂直の嶮しい角度で双方に切り立って起っている底をその渓は流れているのであった。其処に見え、なおそのずっと上の方にも見えた。すべて激しい奔流となっているのであろう、飛沫をあげて流れている雪の様な白さである。我等の眼の前に一本の楓の木が立っていた。さほど大きい木ではなかったが、清らかに高く伸びていた。その紅葉も真盛りであった。一葉二葉と酒の香に似た秋の日の光の中に散り浮いて来る小さな葉は全く自ら輝くもののごとくに澄んだ光を含んでいた。山蕗の葉で傍えの清水を掬んで咽喉をうるおしながら永い時間をかけて、そして何となくうら悲しい様に静かな心になりながら握り飯を貪り喰った。歌が一二首出来る。
うち敷きて憩ふ落葉の今年葉の乾き匂ふよ山岨道に
うら悲しき光のなかに山岨の道の辺の紅葉散りてゐるなり
其処を立って暫く行くと上高地に行く道と平湯に向うのとの分れる所に来た。明日は焼岳から降りてまた此処を通って飛騨へ越すのだナ、と話し合いながら右に折れた。また暫く森が続いたが、やがて思いがけぬ異様な場所に通り懸った。