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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

散らばった岩の一つ一つに白い瀬を立てて、淙々と流れている。渡るとすぐかすかな登りになって、あたりは瑞々しい林だ。老木というではないが、いずれも伸びやかに伸び揃った青々しい樹木である。道には真青な小さい櫟の実などが落ちていた。冷やかな風があって、眼下の瀬の音をかき消す位いの蝉時雨が林を包んでいる。

温情舎と呼ぶその学校は林を出はずれた所にあった。洋風二階建の立派なものである。校舎の二階の開け放たれた辺に人のけはいがするので、其処へ声をかけようとして門を入って行くと、草花など植えた庭の右手に平屋建の長屋風の家があって、その一番はずれに柳下という門標が出ていた。其処へ歩み寄って、二三度声をかけたが、返事がない。やがて真向いの校舎の二階から三十歳あまりのしとやかな婦人が私の声を聞きつけたと見えて降りて来た。聞けば其家の主人は沼津の少年団を率いて御殿場の奥で植林の講習とかをやっているという。奥さんは町の医者に出かけられたのだそうだ。そう聞けばいま橋の渡りあがりの林の中でそれらしい若い身持の婦人に逢ったのであった。

然し私は落胆しなかった。これはもう一度訪ねて来たいものだと思いながら、其処を辞した。