Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
朝あがりのさやかな空を背景に、その頂上からは純白な煙が微かに立ってやがて湯気の様に消えている。空といい煙といい、山といい野原といいすべてが濡れた様に静かで鮮かであった。湿った地をぴたぴたと踏みながら我等二人は、いま漸く旅の第一歩を踏み出す心躍りを感じたのである。地図を見ると丁度その地点が一二〇八米突の高さだと記してあった。
とりどりに紅葉した雑木林の山を一里半ほども降って来ると急に嶮しい坂に出会った。見下す坂下には大きな谷が流れ、その対岸に同じ様に切り立った崖の中ほどには家の数十戸か二十戸か一握りにしたほどの村が見えていた。九十九折になったその急坂を小走りに走り降ると、坂の根にも同じ様な村があり、普通の百姓家と違わない小学校なども建っていた。対岸の村は生須村、学校のある方は小雨村と云うのであった。
九十九折けはしき坂を降り来れば橋ありてかゝる峡の深みに
おもはぬに村ありて名のやさしかる小雨の里といふにぞありける
蚕飼せし家にかあらむを壁を抜きて学校となしつ物教へをり
学校にもの読める声のなつかしさ身にしみとほる山里過ぎて
生須村を過ぎると路はまた単調な雑木林の中に入った。