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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

五つ六つから十歳位いまでの間夏冬に係らず親しみ遊んだ故郷の家の前の小川がこの匂いと共に明らかに心の底に影を浮べて来た。私の生れた国も暖い国であるが、なるほどこの伊豆の風物は一帯に其処に似通っている事などもなつかしく思い合わされた。

まだ枯葉をつけている櫟林や、小松山や色美しい枯萱の原などを、かなり烈しい動揺を続けながらこの古びた乗合自動車は二時間あまりも走って、やがて下田街道へ出た。其処で私だけ独り車と別れた。車は松崎港から下田港へ行く午後の定期であったが、私は下田とは反対の天城の方へ歩こうというのであった。

裾を端折って歩き出すと、日和の暖かさが直ぐ身に浸みた。汗が背筋に浮んで、歩かぬさきから何となく労れた気持ちであった。時計は午後の三時すぎ、今夜泊ろうと思う湯が野までは其処から四里近い道と聞いて、少し急がねばならぬ必要もあった。

梅が到るところに咲いていた。ことに谷向うの傾斜畑の畔に西日を受けて白々と咲き並んでいるのが何れも今日の日和に似つかわしく眺められた。暖くはあるが、はっきりと照らない日ざしに今をさかりらしいこの花の白さは一本一本静かな姿で浮き出しているのであった。