Japanische Klassiker mit Furigana
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オリンポスのかじつ
オリンポスの果実
田中 英光
Lesen Sie オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.277 Zeichen · 147 Bildschirme
ちょッと縄を緩めてからパッと引くと訳ないのですが、それをやると、ひどく皆から怒られ、何遍でも遣りなおしです。黒井さんが、「もう好い」と言うまで、ぼくは油汗をだらだら流しづめでした。
晩になって、B甲板の捲揚台のまわりに、皆が集まっているので、行ってみると、腕角力の最中でした。初め、KOの八郎さんと、十九歳の美少年上原――彼はぼく同様新人ですが、商工部のときから漕いでいるし、ボオトも上手で、皆から愛されていました。――の二人がやって、八郎さんが負けると、「うん、上原はなかなか強い。俺とやろう」と松山さんが節くれだった毛深い腕を出します。「いやア」と上原も顔負けしながら、やっていると、やはり、問題ではなく、松山さんが強い。
松山さんは機嫌よく、上原を賞めていましたが、ぼくと視線が合うと、忽ち、不機嫌な顔付になって、「おい、大坂、上原とやってみい。お前の方が一ツ歳上じゃないか」ときめつけます。ぼくは今朝以来、自信が、少しもないので、「いや、上原君のほうが強いですよ」とべそかき笑いをしますと、「ばか、貴様は、女の尻に喰いつくだけが、得意なんだな」と罵り、豪傑笑いしてから、上原なんかと行ってしまいました。