Japanische Klassiker mit Furigana
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ドナウげんりゅうこう
ドナウ源流行
斎藤 茂吉
Lesen Sie ドナウ源流行 (ドナウげんりゅうこう) von 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.565 Zeichen · 44 Bildschirme
十
会釈をするときに頬に微笑を湛えて脣の角のところに一寸竪の皺を寄せてもの言うのはモナ・リザを連想せしめた。
十
僕等はドナウから別れてだいぶ来た。今著いたエンゲンの停車場で窓から僕は外を覗いていた。そこから見える寺は尖塔は暗緑に塗られてあった。そして、小さい窓のところが褐色で、そのほかの寺の部分は灰色である。それを僕は一寸手帳に書きつけた。そのうち汽車が動き出した。そのあたりには実に古い小さい家が並んでいる。玩具のような窓から童女が顔を出していたり、青味がかった野の斜面に童が五六人固まって寝ていたりするのが見える。向うの道を女が自転車で通った。家の前で焚火をしてあってけぶりいる。つまりフイルムを見ているようで慌しいが、異境を歩いているような感がやはりしている。汽車は平原を走るが、向うには尖った山が見えている。それがアルプスのような峻峰ではない。そして黒ずんだその山がなかなか近寄らないのを、何心なく見ていたりする。先程から汽車が川に沿うて走っている。岸の柳は芽を吹いてもう萌黄になって居る。「あの川は何といいますか」「あれですか、Aach 川です」「どう綴りますか」