Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
知らないよ。」
「それは何なの。」
「石油。」
「君の名は。」
「セーニャ。」
そういって、その瓶を目よりも高く差し上げると、また飛び跳ねる馴鹿の仔のように活溌に走り出した。素足の裏が白く白く飜った。
河畔へ出て見ると、休憩所の周りは既に群集で埋っていた。何と珍らしい樺太の晴天であったろう。光り輝く数百の麦稈帽の反射は近い水面を、空気を、砂地をことに眩ゆく新にした。そうして岸には長い櫂を蜈蚣見たいにそろえた細長の独木舟が幾隻か波に揺られて、早くも飛び込むと持場持場を固めるオロチョンギリヤークの青年たちも勇ましかった。彼らは鼠色の軽装にばんばらの蓬髪を長く靡かせていた。
川の上手から静謐な、光り輝く漣の上を影絵のように急速力で漕いで来る丸木舟も見えた。一人、二人、三人、四人、五人、あ、六、七人。
「来た、来た、金太郎金太郎。」歓声がひとしきり揚った。
オロチョン族の金太郎は少からず人気男と見えた。競漕でもとうとう彼の一組が美事に優勝した。
あの土人どもの無智な一図の活動はむしろ峻烈極まったものだった。映画で見る樺太犬の橇引きとたいして違いはなかった。四隻の細長い独木舟に分乗して、飛沫を散らして先後を争った凄まじさは、私としては見ていて壮快を感ずるよりも、かえって憐愍の情に撲たれたのであった。