Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
大勢通ったのでひどい泥濘になっているので、私は草の上を歩く。
「や、驚いた。馬鈴薯の花だな。」
内地では五、六月の薄紫の馬鈴薯の花だ。蕊の黄色い新鮮な花。
「や、菜の花だな。これは驚いた。」
とある漁師の家の窓からは女の子がたった一人面を出していた。その前の畑には、いかにも雨に濡れた黄の菜の花が咲き群れていた。それに豌豆の花、背の低い唐黍。葱坊主。
この国土のはてに来て、この鮮かな野菜の花を見ることは。この暮春と初夏との色。
私はまたびしゃびしゃと緑の上を歩いてゆく。この車前草の踏み心地は。
雨がしだいにあがりかけて来た。が、まだ横なぐりに吹きつけるものがある。
砂浜には、細い丸太の長方形の高い柵が、その雨と風との中にさびしくわびしく続いている。網小屋のようなのも目につく。私は道連れの巡査さんに訊ねて見た。
「これは何です。」
「鰊乾場であります。これは廊下と申しまして、ここへ鰊を乾すのであります。」
「この小屋は。」
「これは納壺であります。網や雑具を入れるのであります。」
その外に大きな釜が二つずつぐらい据えっぱなしで、何れもが激しい鰊の臭気でとろんでいた。