Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうひんよっつ
中勘助随筆集
中 勘助
Lesen Sie 中勘助随筆集 (しょうひんよっつ) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.694 Zeichen · 32 Bildschirme
葛湯がたいした珍味ででもあるかのように飲み残しの半分をくれるというのをほしくもなさそうにためらってる兄にそばから私たちが 折角だから とすすめて飲ませる。どちらも病いに暗まされた頭である。あわれに涙ぐましい。
母は姉にむかって
「□□さんにおじいさんのことをよう頼んでちょうだい」
といった。私に兄の世話を頼むというのだ。病身の子を思うのである。私は母のほうへ顔を出して
「心配することはありません。これがいるから大丈夫です」
と自分の鼻の先を指でちょんと叩いてみせた。
断片。□□さんがなにかたべさせながら
「たんとたべて八十八のお祝いをなさらなくちゃ」
といえば母は
「まあ生きたいことない。はよ死にたいが死ねん」
という。ふだんは生に対する執著が随分強かったがこうなると自然そんならくな気にもなるとみえる。どことも疎遠な私は知らないけれども家に子供がないので母はよその孫たちを可愛がったのであろう。かわるがわる見舞にきては枕べに坐ってゆく。そんなにされながらもはや生への執著も後に残る心配もなく、あすのおやつの果物の注文や好物のあずき粥のことなど考えながらこの世を去ってゆく母は。