Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうひんよっつ
中勘助随筆集
中 勘助
Lesen Sie 中勘助随筆集 (しょうひんよっつ) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.694 Zeichen · 32 Bildschirme
あるとき母はけげんそうに
「くるとどうしてさするの?」
といった。私たちが笑ったもので母も釣り込まれて笑いの影を浮べた。愛撫――これが私の愛の特質らしくも思われる。私は何人に対してもそうした愛をもつ。過日の重態ののち母が急に病み耄けて子供らしくなったために私は憚るところなくこのように母を愛撫し、母もまた快くそれを受けることができるのである。
断片。母は目はみえても人の識別ができないことがあるらしい。で、私は仰向けに寝て目をあいてる母のうえへ身をかがめ顔を近づけて名のりながら
「かわいいでしょう」
といった。と、青天の霹靂とでもいうように
「そりゃ子だもの」
といった。皆が一度に笑った。よくわかってたのだ。
断片。ちょうど病室に兄がいたときに――健康なじぶんからこんな場合になると兄は私よりもずっと気が弱いのだが、今は自分もものがいえないのではたの見る目も気の毒なほどしょんぼりと心配そうに母を見まもっている。――母のところへ葛湯がきた。母は葛湯ときいて
「葛湯なら半分おじいさんにあげましょう」
と微かながらそれはそれはいい笑顔をみせた。可愛いのだろう。平生は名をよんでたのに今度悪くなってから兄のことをおじいさんといいだした。