Japanische Klassiker mit Furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme
僕は自分に勝って見せます。……では、これで訣れましょう。あなたの幸福を祈ります……」
言い終るとすぐ、伊藤は立ち上った。
私は内心不満であった。何という臆病な愛の使徒だろうと思った。私は何か言いたかった。けれど伊藤はもう立ち去ろうとしているような風だったので、私も仕方なく答えた。
「そうですか、ではさようなら……」
追い縋る何ものかを払いのけようとでもするように、伊藤は後をも振り向かずに、すたすたと歩いて行った。
寂しい、悲しい、それでいて、何となく微笑ましい、そんな気持ちで私はしばらく、彼の後姿を見まもった。彼の姿が見えなくなるまで……。
仲木砂糖店の生活振りはかなりだらしのないものだった。学校に通う伸ちゃんが朝の七時に家を出なければならないので、私達は朝の五時から起きてその用意をしなければならなかったが、伸ちゃんが学校に行って小一時間も経った頃若夫婦が起きて来る、十時頃に銀ちゃんが起きる、最後に十一時頃に大奥さんが起きて顔洗いに狭い台所を小半時間もふさいでしまう。味噌汁が冷えるので三、四度も温めなければならぬ。大奥さんが朝食をすまして大根一本もって聖天さまへお詣りに出かけると、ちゃぶ台をたたむ間もなく若夫婦たちの昼食の仕度をする。