Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちからもち
力餅
島崎 藤村
Lesen Sie 力餅 (ちからもち) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 65.974 Zeichen · 130 Bildschirme
高い峠にかかるまで、わたしは何ほどの道を歩いたとも、今ははっきり覚えていません。そのくせ、途中で自分の目に映ったものや、道を聞き聞き歩いて行ったそのこころもちなぞを、あとさきのつながりもなく、今だに覚えていることもあります。中には、きのうのことのように、実にあざやかに目に浮かんでくるものもあります。
そう、そう、ある川の流れに添うていかだを下す人があったのもその一つです。それが材木のいかだでなしに、竹のいかだであったのもめずらしく思われたことを覚えています。土地不案内なわたしも、その川について水上のほうへ進みさえすればいいと感づきました。だんだん歩いて行くうちに、川の水は谷底の下のほうに見えるようになって、がけづたいの道へ出ました。
その時です。わたしはがけのわきにおっこちている小石を拾いあげ、それを谷底のほうへ投げてみて、うらないごとを試みようとしました。まだわたしも若かったものですから、もしその小石が川の水にとどいたら、自分でこうときめておいた前途の目じるしを変えずに進もう、もしまたその小石がとどかなかったら、自分の畑にはないものと思って、好きな道もあきらめよう、そんなふうに思い迷ったのです。