Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
この雨は、やがて小降りになったが、晩まで続いた。二人は相々傘で雪のまるで無い槍沢を登った。片袖濡れたる筈が無いとか何とか、鼻歌で槍を登るのは、すこ敬虔を欠いたやり方だったかも知れぬが、濡れずに済んで大助かりだった。大槍の小舎なんぞで入口をがらりと明け、今日は! とすぼめた傘の滴を切る気持は、ちょっと面白かった。
殺生小舎の下は急である。二人はいつか離れて了った。私は杖にすがって登ったが、孝男君は相変らず傘をさし、医科大学へ通学する靴をはいて、いやな石ころの上を「長いまつ毛がホオーッソリと」と、いやにセンチメンタルな歌を歌いながら元気で歩いて行った。
我々が番傘をさして槍ヶ岳へ行ったことを以て山を冒涜するものと做す登山家――「より厳格な教義と実行を持つ人々」――もあるかも知れぬ。実は孝男君と私も、そんな気がしないでもなかった。気持の問題ばかりではなく、密林中や尾根は、とても傘なんぞさして歩けはしない。だが、上高地から槍沢を通って槍へ行く途中には、ウソみたいに良い路が多く、かつその日は風が余り強くなかったので、こんな真似も出来たのである。とにかくユニークな経験ではあった。