Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
峠の秋
家の前は道路、その向うが松林、銀鼠の薄明がつめたく流れる。松林の中から、子供の歌が聞えて来た――
夕焼こやけで日が暮れる
山のお寺の鐘が鳴る
お手々つないでみな帰ろ――
Sさんと私とは、何故か顔を見合せた。
家の中はまっくらであった。炉べりで串にさした鳥を焼いていたお内儀さんは、不意にドヤドヤ人って来た三人の洋服姿に、ちょっと驚いたらしかったが、それでも愛想よく、
「さア、踏んごんであたっておくんなせえよ」と、炉に松の根を投げ込んだ。
板の間に大きく切った炉、まさに踏ん込むことが出来るようになっている。パチパチと松が燃えて、つぐみの腹から脂肪が滴る。
折からの停電に、お内儀さんは蝋燭を酒樽の上に立てた。菜の漬物でビール二本。風が障子を鳴らして、蝋燭の焔がゆらゆら振れる。
出がけに、ルックサックを背負いながらKさんが言った――「お内儀さん、ここらは朝がいいだろうね。」お内儀さんは、変なことを聞く人だという調子で、しばらく黙っていたが、「寒いでね」と、しみじみ言った。
峠の秋
「峠の秋」と書いただけで、私の心には高い空と、汗ばんだ膚を撫でる涼風と、強い日光とを感じる。