Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
山の秋
にあわてて了い、エイッ! とばかり竿を持ちあげる。ヤマメは頭の上で、昼間の三日月みたいに光って背後の河原に落ちる。そこには白砂に小松が生え、九月もなかばを過ぎたのに、松虫草とハマナスが咲いていたが、およそ、こんなにあざやかな色の松虫草は、見たことが無い。やはり紫外線の関係だろう。高山植物の色をしていた。
今、拙宅の庭の一隅に、松虫草が四本、ヘナヘナしている。過日新宿の夜店で買ったものだ。コヤシをウンとやったら、トロイのみたいに大きな花を咲かすかも知れない。多年生草本だというからには、毎年咲くことだろう。たのしみにしている。(昭和十一年「夏ひとむかし」)
山の秋
林の小径、踏みしめて行く一歩一歩に木の葉が落ちる。丸いかつらの葉、細い白樺の葉、それよりも粗末に出来たまかんばの葉。いずれも黄色い。
この朝、風がまるで無いので、木の葉は、ふんわりと、自分勝手に落ちて来る。或る木の葉は帽子にあたる。別の木の葉は小径に落ちる。また、林の下草をなす、羊歯と、つはぶきに似た草と、いろいろな蔓草とにひっかかる葉もある。
夜中降った雨が、やっと上った所である。白樺の幹は艶々と白く、落葉松の幹は濡れて、ひとしお黒い。