Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
秋の山
折から降って来た雨に、臍まで濡れながら一と休みもしないで、島々へ。走って来た乗合自動車に荷物ごところげ込んで島々駅へ。雨のあがった松本へ。ラジオのジャズが往来へ流れる松本へ。クリンケルが三つ四つふっ飛んだ私の登山靴は、重いルックサックと、五尺八寸五分の私とをのせたまま、ジャズに合せて妙なステップを踏んでいた。
秋の山
やっと都合をつけた土曜日と日曜日。金曜の午後大阪を立って名古屋で乗りかえ、塩尻で目をさまして窓を覗くと空は真暗である。松本下車、いやにあたたかい。これはいけない、折角の二日間を雨にでも降られた日にはことだ……と思いながら、一時間ばかり経って大町行きの一番電車に乗った。十一月六日のことである。
電車が動き出す頃には、まったく夜が明けた。果して雨模様である。東の方はまだいくらかましだが西の方は大変な雲で、前山のあたり、渦を巻いていたりする。もちろん山は見えない。
もうすっかり冬の景色である。綺麗に刈りとられた水田はカラカラに乾き、真白く霜さえ見える。借金までして山を見に来たのに、この調子では先ず絶望らしい。仁科の炬燵にもぐり込んで白馬錦をのみながら、ばあさんの濁み声でも聞くのが関の山かと思う。