Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme

Aozora Bunko

では、行くぜ。橙を落とすなよ。――身内のやつら、おやかましゅう」

すうと胸のすくような男まえです。悪あがきをせずに、なぞの橙を伝六にかかえさせながら、さっさと引き揚げていったところは、いわずと知れた八丁堀のお組屋敷でした。

しかも、帰りつくや同時です。ずらずらと目の前に七つのその橙を押し並べながら、そろりそろりとあごをなでなで、じろりと鋭い一瞥をくれたかと見えるや、果然、知恵の袋の口があいたとみえて、さえまさった声がたちまちずばりと放たれました。

「七つともに、この橙はみな落ち残りだな!」

「え! なんですかい。おっかねえくれえだな。ぴかりとひと光りひかったかと思うと、もうそれだからね。なんのことですかい」

「この七つの橙は、みんな落ち残りだといってるんだよ」

「はあてね。妙なことをおっしゃいましたが、その落ち残りとかいうのは、なんのことですかい」

「少なくとも四年か五年、どの橙も落ちずに木に残っていたひね橙ばかりだといってるんだ。この臍をみろ。一年成りの若実だったら、すんなりとしてもっと青々としておるが、臍がこのとおりしなびて節くれだっているのは、まさしく落ち残りの証拠だよ。