Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あいこくしんわたしはこうおもう

和人は舟を食う

知里 真志保

Lesen Sie 和人は舟を食う (あいこくしんわたしはこうおもう) von 知里 真志保 (ちりましほ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.567 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

奥の方から、若い男女が下りて来ておれのそばを通るのに、ちっともおれの方を見ない。あらぬ方ばかり見て通る。ときどき、おれがまだ小さい頃、村で見たことのある病死した男や女が通りかかるのだけれども、やはりおれの方を見ずに、あらぬ方ばかり見て通りすぎるのである。ただ犬だけは、おれに向って猛烈に吠える。するとその連中はふしぎそうな顔をする。

海辺に黒々と人だかりがしているのでそこへ行って見ると、舟から荷物を揚げるのを大勢の人々が見物しているのであった。その連中のなかに、思いもかけず、父さんや母さんがいた。昔よりずっと若く元気でにこにこしながら荷揚げするのを見ている。誰ひとりおれの方を見るものがない。父さん、母さんと言って飛びつきたいのをがまんして見ていると、いま着いたばかりの荷揚げ舟の中から、思いもかけぬ兄さんだちが、これまたすこぶる若く元気な様子で上って来た。おれのそばを通っても気づいた風もない。

その間も犬どもは絶えずおれに吠えかけている。すると村の老人たちは戸口に出て来て、何かぶつぶつ言いながら灰をぱっぱっとそこらへまきちらす。おれはふしぎに思ってそれを見ていると、大きい兄さんがそばへ来て、あらぬ方を見ながら、こう言った――